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米国投資 底堅い米国経済を背景にファンダメンタルズ重視の業績相場に移行~クオリティを見極める企業分析力がパフォーマンスを左右する展開に~ 米国投資 底堅い米国経済を背景にファンダメンタルズ重視の業績相場に移行~クオリティを見極める企業分析力がパフォーマンスを左右する展開に~

 2024年の米国株式市場は、引き続き底堅い米国経済を背景に史上最高値を更新する展開になった。2023年は年末に向けて、5%を超える水準に引き上げた政策金利を引き下げるタイミングが近づいたとして、米国株式市場が上昇して越年した。特に、2023年の米国株式市場を象徴したのは、「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれた超大型ハイテク株(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラ)の株価の大幅な上昇だった。その勢いのままに2024年の年初は、史上最高値にまで株価が上伸して高値圏を形成しているが、今後の市場をどのように考えればよいのだろうか?米国市場の見通しをアライアンス・バーンスタイン運用戦略部インベストメント・ストラテジストの柴戸康輔氏(写真)に聞いた。

2%程度の成長が期待される底堅い米国景気

Q1.米国は、今年は景気の鈍化による利下げが予想されていましたが、経済指標は雇用を中心に引き続き堅調で、利下げ時期が後倒しになり、利下げ幅も縮小するという見方もでてきています。現在の米国景気の状況について、どのように見ていますか?

 マーケットでは米国景気に対して楽観的な見方が強まっています。2024年の米GDP成長率の予想は、昨年末の市場コンセンサスは0.6%程度の成長見通りだったのですが、3月時点では2.0%程度の成長まで上方修正されています。景気の実態としてみても、消費や雇用に関する統計は強く、インフレも長引く傾向がみえています。

 昨年の株式市場を上昇させた要因にFRBの利下げに対する期待がありましたが、現在は利下げ期待よりも景気の堅調さを背景とした企業業績の伸びを評価しようという動きになってきています。米国株価は昨年来の上昇を続けていますが、その上昇の背景になっている理由が、「利下げ」から「企業業績の堅調な伸び」に変わってきているという点には注意が必要です。

柴戸 康輔氏

アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部 インベストメント・ストラテジスト
柴戸 康輔氏

Q2.米国株価は史上最高値を更新して依然として好調ですが、昨年の株高によって「マグニフィセント・セブン」といわれる超大型ハイテク株は割高な水準にあるという高値警戒感もあります。米国株式市場の現状をどのように見ていますか?

 米国株価は史上最高値を更新して高値圏にありますが、同じように日経平均株価が史上最高値を更新した日本と比較すると、米国の状況には違いがあります。日本は36年ぶりに史上最高値を更新しましたが、米国の過去数十年を振り返ると、半分くらいの期間は過去最高値を更新し続けている期間になります。つまり、現在のように過去最高値を更新している状態というのが米国株式市場にとっては普通の状態(ノーマル)なのです。

 そして、米国株式市場の上昇率は平均で年率10%程度なのですが、最高値を更新した後の上昇率も平均で10%程度なのです。ですから、米国株式に投資すると、高値圏でもそうでなくても、概ね年10%程度の上昇率で値上がりしてきたというのが、これまでの推移になっています。ですから、米国株は確かに史上最高値圏にありますが、この状態は何十年ぶりにあるような異常な状態というわけではなく、米国株にとっては、ごく当たり前の状態だということにご留意いただきたいと思います。

 また、昨年来の株高については、「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれる大型ハイテク株がけん引していましたが、現在では、M7の影響度は小さくなっています。たとえば、2023年の「S&P500」上昇の対するM7の寄与度は62%を占めました。これは、時価総額の比率が28%だったM7の株高が、それほど大きく株価指数の上昇に影響を与えていたのです。ところが、2024年の3月後半の状況では、M7の時価総額比率は29%程度ですが、株高に占めるM7の寄与度は43%に低下しています。M7の影響度が昨年に比べると今年は弱くなっています。これまでも、一部の銘柄に人気が集中してしまうことは良くあったのですが、その人気集中は数年間で解消されました。現在も、M7に集中してしまった物色人気が、徐々に拡散していっている過程にあると見ればよいと思います。

2024年はマグニフィセント・セブン(M7※)以外へ物色が広がりつつある

M7に支配されつつあったS&P 500は2024年以降、他の構成銘柄にも物色が拡大

「S&P 500構成企業の時価総額合計におけるM7の構成比の推移*」と「S&P 500各年リターンの寄与度分解とM7寄与割合の推移**」のグラフ
  • ※アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの7銘柄を指します。
  • 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。また組み入れを示唆・保証するものではありません。
  • * 期間:2019年-2024年(2024年は3月22日現在)。年次ベース。** 期間:2019年-2024年(2024年は3月22日現在)。年次ベース。米ドルベース。2020年以前はテスラを除く。
  • 出所:ファクトセット、AB

 そして、M7の一部の銘柄についてはバリュエーションの面で割高な水準になっている銘柄もありますが、M7以外の銘柄のバリュエーションは過去の水準と比較して特に割高ではありません。2023年3月末時点で「S&P500」のPER(株価収益率)は23倍と、過去30年間の平均PERである19倍を上回っています。しかしM7を除くPERを計算すると19倍程度と過去平均と同水準となります。つまりM7の平均PERが割高(29倍)で「S&P500」全体のPERの水準が引き上げているということです。ですから、物色人気が集中したM7は割高な水準にあるともいえますが、それ以外の銘柄には、割安な水準にある銘柄もあり、個々の銘柄ごとに判断する必要があると思います。

マグニフィセント・セブン(M7)以外の493銘柄にバリュエーション妙味あり

足もとバリュエーションへの警戒感がくすぶるも、M7以外は魅力的な水準にとどまっている

「足もとのS&P 500および
  • 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。予想は今後変更される可能性があります。
  • 2024年3月31日時点。M7とM7を除く493銘柄の予想PERは中央値。長期平均は1991年1月末-2024年3月末における平均。
  • 出所:ブルームバーグ、ファクトセット、AB

ファンダメンタルズ主導の業績相場に

Q3.今後の米国株式市場の見通しは?

 今後は長期金利主導から個別ファンダメンタルズ主導の業績相場へ移行すると考えています。2023年の米国上場企業のEPS成長率は横ばいでしたが、2024年には11%程度の成長が見込まれています。このマーケットの期待に対して、個々の企業がどのような決算を発表し、決算の見通しを語るのか、3月から6月にかけての決算発表が大きなポイントになります。現時点では、2024年の業績は、テクノロジー、ネット小売り、メディア、ヘルスケアといった業種で2ケタ成長が期待され、エネルギーや素材などでは減益の予想になっています。株価は、それらの見通しを反映して好業績株は値上がりし、業績の悪い見通しの銘柄の株価は冴えないものになっています。この現在の想定に対し、実際の業績の差異が、株価を動かすひとつの材料になります。

 また、依然としてインフレ率の行方には注意を払う必要があります。FRBもインフレ関連指標を注意深く見守っているところですが、インフレ率が2%の当局目標に向けて持続的に鈍化していると十分確信できるようになれば、5%台という高い水準にある政策金利の水準を引き下げることが可能になります。「利下げ」の動きによって、景気に対する見方や企業の借り入れコストの変化など、重要な変化が起きます。金融政策の方向として「利下げ」に向かうことはほぼ確実ですので、昨年7-10月に見られたような長期金利の上昇がバリュエーションを圧迫して株価を押し下げるという動きにもなりにくいと考えています。

 このように、金利の低下見通しが強まったから株価が上がるというような2023年末までの市場の変動とは異なって、個別銘柄の業績や株価の分析力によってリターンの出方が変わってくるような市場になってきます。その点では、市場全体の動きを反映するインデックスファンドと、選別投資をするアクティブファンドの間でパフォーマンスの差が広がりやすい市場になっていくといえます。

2024年の株式市場は業績相場へ回帰する可能性

バリュエーションの大幅な変動は考えにくいことから、業績相場へと回帰する可能性

「S&P 500株価指数のリターン要因分解」の図
  • 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。予想は今後変更される可能性があります。
  • 2024年の予想EPS成長率は2024年4月3日時点の予想。各年末時点の予想EPS(12ヵ月後)および予想PER(12カ月後)の変化率により算出。
  • 出所:ブルームバーグ、ファクトセット、AB

Q4.今後の米国株式を展望して活躍が期待できる業種やテーマなどの分野・傾向はありますか?

 今後、業績相場が予想される環境下では、金利が高止まりしていても成長分野への投資が可能な強固な財務体質を持ち、どのような経済環境であってもしっかりと収益をあげられる優れたビジネスモデルを持っているかという点が問われます。これは、成長株に投資する「グロース戦略」でも、割安株に投資する「バリュー戦略」でも、共通して重要なポイントになります。クオリティの高い銘柄を見極めて、ポートフォリオに占める比率を高めていくことが、これからの米国株式投資で勝ち残るポイントになると考えています。

「質の高いビジネス」への厳選投資が生みだす良好なパフォーマンス

グロース戦略でもバリュー戦略でも共通して企業の"クオリティ"に着目

「質の高いビジネス」への厳選投資が生みだす良好なパフォーマンスの図
  • 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。AB米国大型成長株戦略および米国レラティブ・バリュー戦略のコンポジットのリターン(費用控除前)を示しものであり、各ファンドの実績ではありません。※コンポジットとは、類似の投資戦略、投資方針に基づいて運用される1つ以上のファンドの運用実績を、一定基準に従って評価したものであり、投資戦略ごとの運用実績を表すために用いられます。
  • 期間:1995年-2023年。米ドルベース。
  • 出所:ブルームバーグ、AB

たとえば、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は、代表的なグロース戦略のファンドですが、このファンドにおける「クオリティ」とは?

 「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は、徹底的なリサーチに基づき、「持続的な成長企業」に厳選投資します。この「持続的な成長」がポイントです。企業を見極めるために「収益性」「投資の効率性」「財務健全性」という3つの角度から調査をしますが、たとえば、「高い収益性の持続力」がある企業とは、優秀な経営陣が、独自のビジネスモデルで高い参入障壁を築き、支配的な市場シェアを持っていることなどによって高い収益性が持続できると考えられる企業です。質の高い経営陣が、質の高いビジネスを行っていることが高い収益性を持続させるために重要と考えます。そのような点を、意識して調査しています。

 質の高い強固な財務体質を持つ企業は、資本市場の影響を受けにくく、質の高い経営を持続可能とします。さらに、投下した資本に対し、より効率的に利益を創出できる企業は、より高い収益成長が期待されます。このように、「持続的な成長企業」を選定するにあたって、「クオリティ」は重要なポイントになっています。

 「グロース戦略」と「バリュー戦略」の違いを説明すると、どちらの戦略の方が優れているのかという質問を良く受けます。答えは、長期の投資では、どちらも同じような成績を残しています。1979年から2022年までの44年間のバリュー株とグロース株のインデックスの運用成績を比較すると、その平均リターンは、バリュー株が年率11.6%で、グロース株は年率11.3%でほとんど変わりません。ただ、その時々の景気サイクルや投資家の選好等の変化によって「バリュー」と「グロース」のどちらが優位かという違いはあります。過去44年を各年のリターンでみたとき、両戦略の格差は平均で10%になり、短期では、どちらかの戦略を選択していた方が良かったということがあります。一方、その優劣は"あざなえる(※より合わせた)縄"のように交互にやってくるため、株式で安定的に資産形成を行うためには、両方の戦略を併せ持って長期に投資することが有効な方法のひとつと言えます。

<ご参考> "禍福かふくあざなえる縄の如し"

株式で安定的に資産運用を行うために、割安株と成長株にバランスよく投資することは有効な方法のひとつ

<ご参考> "禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如し"
  • 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
    *期間:1979年-2022年。年次ベース。割安株:ラッセル1000バリュー指数。成長株:ラッセル1000グロース指数。配当込み。米ドルベース。
    出所:ブルームバーグ、AB

アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信
Aコース(為替ヘッジあり)
Bコース(為替ヘッジなし)
Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型
Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
Eコース隔月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型

<ファンドのリスク>

  • 当ファンドはマザーファンドを通じて主として株式などの値動きのある金融商品等に投資しますので、組入れられた金融商品等の値動き(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)により基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。当ファンドの運用による損益は全て投資者に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。
  • 当ファンドの基準価額の変動要因としては、主に「株価変動リスク」「為替変動リスク」「信用リスク」「カントリー・リスク」「他のベビーファンドの設定・解約等に伴う基準価額変動のリスク」等があります。基準価額の変動要因は上記に限定されるものではありません。詳しくは投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。

<ファンドの費用>

  • 購入時手数料:購入価額と購入口数を乗じて得た金額に、販売会社が別に定める購入時手数料率(上限3.3%(税抜3.0%))を乗じて得た額とします。
  • 信託財産留保額:なし。
  • 運用管理費用(信託報酬):純資産総額に対して年率1.727%(税抜1.57%)(上限)の率を乗じて得た額とします。

<ご留意事項>

  • 投資信託は預貯金や保険契約にはあたりませんので、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護対象ではありません。
  • 登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
  • 分配金は、預貯金の利息とは異なり、ファンドの純資産から支払われますので、分配金が支払われると、その金額相当分、基準価額は下がります。
  • 分配金は計算期間中に発生した収益を超えて支払われる場合があり、その場合、当期決算日の基準価額は前期決算日と比べて下落することになります。分配金の水準は、必ずしも計算期間におけるファンドの収益率を示すものではありません。また、投資者のファンドの購入価額によっては、分配金の一部または全部が、実質的には元本の一部払戻しに相当する場合があります。ファンド購入後の運用状況により、分配金額より基準価額の値上がりが小さかった場合も同様です。
  • 当ファンドのお取引に関しては、金融商品取引法第37条の6の規定(いわゆるクーリング・オフ)の適用はありません。
  • 当ファンドは、大量の解約が発生し短期間で解約資金を手当てする必要が生じた場合や主たる取引市場において市場環境が急変した場合等に、一時的に組入資産の流動性が低下し、市場実勢から期待できる価格で取引できないリスク、取引量が限られてしまうリスクがあります。これにより、基準価額にマイナスの影響を及ぼす可能性や、換金の申込みの受付けが中止となる可能性、換金代金のお支払が遅延する可能性があります。
  • 当ファンドの取得のお申込みに当たっては、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をあらかじめまたは同時にお渡ししますので、必ずお受取りになり、記載事項をご確認のうえ、投資の最終決定はご自身でご判断ください。
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