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国内長期債利回り年3%時代が接近、日本国債ファンドがNISA利用者を爆発的に拡大させる可能性

 国内の長期債利回りが年3%の水準に近付いている。7月9日には新発10年国債利回りが2.875%と1996年9月以来、約30年ぶりの高水準になった。日本が「失われた30年」といわれる本格的なデフレ経済に落ち込む以前の「金利ある世界」に復帰したことを感じさせる動きだ。この金利上昇によって、これまでの超低金利・マイナス金利環境下で運用の定石とされていた戦略が180度変わりつつある。機関投資家の間ではすでに投資行動の変化が確認できるが、個人投資家もこれまでの外国株式一辺倒の思考からの転換が必要になるかもしれない。すでに、運用会社からは国内債券ファンドの新規設定が散見され、一定の支持を得るようになっている。「金利ある世界」における投資戦略を考えてみたい。

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◆為替ヘッジコストを勘案すると国内債利回りが有利に

 財務省が発表している「対外・対内証券投資」によると、「株式」については2000年以降は継続的な買い越しだったものの、2020年以降は売り越し(2020年、21年、23年、24年)が目立っている。長年にわたって買い越してきたものが、株価上昇に伴って益出しの売りを出しているものと考えられる。ところが、債券について「中長期債」はまれな例外(2013年、17年、22年)を除いて一貫した買い越しが続いていた。国内債券利回りがゼロ%からマイナスになる中で、安定的な収益機会は海外に求めるしかなかったということだろう。ところが、2026年は年初から6月までの累計で売り越しになっている。特に、2月、3月の売り越し規模が大きい。これは新発10年債利回りが2025年12月に2%台に乗せ、1月下旬から2.2%を超えて利回りが上昇した時期にあたる。

 国内から外国債券に投資する場合、機関投資家は為替リスクを軽減するために為替ヘッジ付きを一般的に利用するが、そのヘッジコストは日米の金利差の拡大によって2023年頃には6%近辺に跳ね上がり、2024年から25年にかけてピークアウトしたものの依然として3~5%程度で推移し、2025年末に3.1%程度にまで低下してきた。国内の新発10年国債利回りが2%を超えると、米国10年国債利回りが4.5%程度であると為替ヘッジを付けると国内債利回りの方が高くなる状況になってきた。今後、国内の金利水準が一段と上昇すれば、わざわざ為替ヘッジをつけてまで外国債券に投資する投資家は減少し、代わりに国内債券に投資する機会が増えると考えられる。

◆償還まで持ち切り運用で「利回り」を見える化

 このように機関投資家の投資行動が変わってきたことを受けて、運用会社は個人投資家向けの公募投信において国内債券を主要な投資対象にしたファンドの提供に力を入れている。たとえば、大和アセットマネジメントは2025年8月21日に残存期間が30年程度の日本国債に投資する「iFreeHOLD 日本国債(JGB2056)」を設定し、近年の日本国債ファンドの新規設定をスタートした。2026年1月9日には残存期間が20年程度の日本国債に投資する「iFreeHOLD 日本国債2045(3・9月定期分配型)」、6月2日には残存期間が2年程度の日本国債に投資する「iFreeHOLD 日本国債2年サイクル(偶数年6月)」を設定し、日本国債ファンドのバリエーションを拡大させている。「iFreeHOLD」シリーズは、「最後まで1つの債券を保有し続けるシンプルな投資戦略」がコンセプトで、購入時点でおおよその利回り・リターンをイメージしやすい構造になっている。

 たとえば、6月に新規設定された「iFreeHOLD 日本国債2年サイクル(偶数年6月)」は、募集時に投資対象債券の利回りが年率1.402%で、償還までの期間が25カ月であることを周知している。残存までの期間が約2年間の債券を購入後償還まで持ち切るということを2年サイクルで10回繰り返し20年間の信託期間を設定している。信託期間が20年間という長期にわたるため、NISA成長投資枠の対象となり、個人向け国債や定期預金では利子・分配金には20%の源泉徴収税があるところ、ファンドでは非課税で分配金を受け取ることができる。また、ファンドにすることで100円以上1円単位で購入できるなど投資家のメリットが大きい。

◆拡大する債券ファンドの新規設定

 2025年1月以降の新規設定ファンドで国内債券を対象としたファンド(単位型含む)は、大和アセットマネジメントの「iFreeHOLD」シリーズを除くと、2025年3月の「One円建て債券ファンドⅣ2025-03」(アセットマネジメントOne)、7月の「One円建て債券ファンドⅤ2025-07」(同)、10月に「好利回り円債・短期戦略ファンド(年1回決算型)」と「好利回り円債・短期戦略ファンド(年4回決算型)」(マニュライフ・インベストメント・マネジメント)、11月に「円建グローバル公社債ファンド(限定追加型)2025-11」(りそなアセットマネジメント)、「Tracers 日本国債ウルトラロング(30年平均)年4回分配型」(アモーヴァ・アセットマネジメント)、12月に「しんきん円建て債券ファンド2025-12(限定追加型)」(しんきんアセットマネジメント投信)、2026年2月に「One円建て債券ファンドⅤ2026-02」(アセットマネジメントOne)、「三菱UFJ日本短期債券オープン」(三菱UFJアセットマネジメント)、3月は「SOMPO円建て債券ファンド(限定追加型)2026-03」(SOMPOアセットマネジメント)になる。銀行系運用会社を中心に積極的な新規設定が続いていることがわかる。

 2024年1月にスタートした新NISAは、生涯で1人あたり最大1800万円の非課税投資枠があり、非課税期間も無期限となったことで、多くの方々が投資信託などを使った投資を始めた。ただ、当時の「投資の常識」は、「運用コストが極端に低い外国株式インデックスファンドを長期でつみたて投資することが王道」というものだっただけに投資の未経験者の方々にとっては、いきなり外国への投資、さらに、いきなり値動きの大きな株式への投資ということが高いハードルに感じられたと想像できる。それが今では、最も安心して投資できると考えられる日本国債を投資対象とし、定期預金金利よりも高い利回りで投資できる商品が手軽に購入することができるようになった。これを機に投資をスタートできると感じる方々のすそ野は一気に広がる可能性がある。その可能性は預貯金を通じて資産を保有してきた銀行や郵便局の利用者で顕著になると考えられる。

 「国内長期金利3%時代」の到来は、銀行や郵便局のチャネルを通じて、新NISAを利用する人口を一気に拡大する可能性を秘めているといえるだろう。

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