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「S&P500」連動型のインデックスファンドに人気集中、「ゴールド」に出番? =ネット証券の投信積立契約件数ランキング24年11月
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2024年11月のトップ3は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」「iFreeNEXT FANG+インデックス」で変わらなかった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はネット証券3社でそろってトップとなり、そのほかにも第4位に「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」、第6位に「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」と「iFree S&P500インデックス・ファンド」がランクアップして入るなど、「S&P500」連動型のインデックスファンドが総じて順位を上げている。また、トップ10圏外から「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第10位に食い込んだ。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
11月は6日に「S&P500」が史上最高値を更新し、その後11日まで4営業日連続で最高値を更新。いったん調整したものの、26日に再び史上最高値を更新し、月末も史上最高値を更新した。米国の主要株価指数では「NYダウ」も「NASDAQ総合」も11月には史上最高値を更新しており、米国の株高が印象強い1カ月になった。このような状況を目の当たりにすると、積立投資を実行している投資家は、安心して積立投資を継続し、また、新たに積立投資を開始する投資家も米国株式市場を中心に置いた積立プランに魅力を感じるだろう。
米国株式市場については「高値警戒感」はあるものの、積立投資の場合は株価が下落するようなことがあっても、積立投資を継続していれば、その後に株価が高値を回復してくれれば投資成果を得られる。そもそも半年、1年という短期間で成果を得ようとするものではなく、5年、10年、あるいは、20年、30年先の結果を求めての投資であれば、現時点での「高値警戒感」に過度に警戒する必要はないということになる。11月にみられた「S&P500」への集中的な人気は、改めて米国株式市場への期待や信頼が根強いことを感じさせる。
ただ、米国株式市場が力強く成長していることを否定するものではないが、バブル崩壊後の日本の株式市場が20年以上にわたる長い低迷の時代を経験したように、市場の動きは時に長期の低迷相場に落ち込むこともある。たとえ30年の積立投資を計画していたとしても、現在を高値にして米国株式市場が30年の下落相場に入ってしまったとしたら、積立投資を継続したところで、その投資から利益を得ることはできない。「ありえない」と思うようなことでも起こってしまうのが市場だ。「S&P500」への集中度が高まっているからこそ、資産形成には「分散投資」が必要だと言われることの意味を確認しておきたい。
その投資人気の「S&P500」への集中が起こる一方で「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第10位に入ってきたのは「分散投資」の観点からは意味のある動きといえる。「ゴールド」の値動きは株式とは異なる値動きをする。ここ数年は、2020年3月の「コロナ危機」によって世界的な金融緩和が進んだ関係でゴールドの価格が上昇傾向を強め、NY金先物市場は史上最高値を更新する高値を続けている。直近でも10月末にNY金先物は史上最高値の2800ドルを付けた。ただ、米国株式が史上最高値を更新した11月はゴールド価格は調整安を続けることになり、株価とは別の値動きをしていることが確認できる。
「ゴールド」の価格も史上最高値近辺に上昇していることを考えれば、「ゴールド」こそ今後の価格低迷に苦しむ資産になるかもしれない。しかし、もし株価に想定外のショック安が起こることがあったら、その資金の逃避先としての有力な候補の1つが「ゴールド」であることは過去の経験から明らかだ。常に「もし」に備えて、投資資産の全体的なバランスを考えることは重要だ。「ゴールド」に投資するファンドの人気は、一部には単純に昨今のゴールド価格の上昇に注目した値上がり益狙いの投資ではあるだろうが、一部の投資家の間で分散投資を意識した動きがあることをもうかがわせる。
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