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株価波乱で浮かび上がった「オルカン」の分散効果、ランキング上位に「ゴールド」や「インド株」も =ネット証券の投信積立契約件数ランキング25年5月
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年5月のトップ2は前月と同じで、トップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、第2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。第3位は前月第4位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が上がり、前月第3位だった「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は第4位に後退した。また、トップ10圏外から「日経225ノーロードオープン」が第9位にランクインした。一方、前月は第8位だった「三菱UFJ純金ファンド」はトップ10圏外に落ちた。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
◆「オルカン」の分散投資効果を確認
5月は米国株が4月の乱高下から回復していった。「S&P500」は前月のマイナス0.76%から、5月は6.15%高になった。この株高によって米株インデックスファンド等の基準価額は5月に軒並み上昇している。たとえば、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は4月の基準価額は月間でマイナス4.93%だったものの、5月は月間で7.40%上昇し、4月の下落率を取り戻して前年末比でマイナス10%程度になった(5月末時点)。また、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、5月に月間で7.11%上昇し、5月末時点の基準価額の水準は昨年末比マイナス5.14%となった。
米国株式市場の乱高下は続いているが、欧州ではドイツ「DAX」やイタリア「FTSE イタリア全株指数」、スペイン「IBEX35」など代表的な株価指数が史上最高値を更新するなど欧州株が好調であるため、「米国株式」インデックスファンドよりも「全世界株式」インデックスファンドの方が良いパフォーマンスになっている。投信積立契約件数ランキングでも2024年7月から「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップに立っていたが、2025年3月に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」がトップに返り咲き、3カ月連続で「オルカン」のトップが続いている。長期の資産形成においては、米国株式市場ばかりが活躍するものではなく、今回のように欧州株式、時には、新興国株式が市場をリードすることも考えられる。4月の米国株の乱高下によって改めて全世界の株式に分散投資する意義が確認されたようだ。
もっとも今回の米国による「相互関税」の決着の内容によっては、欧州企業においても大きな業績への影響が出てくる可能性がある。世界の株式市場はいぜん波乱含みといえよう。不安定な市場環境だからこそ積立投資においても資産の分散が重要になる。ランキングの上位には、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をはじめ、国内株式に投資する「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」、金(ゴールド)の値動きに連動する「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」、また、新興国のインドを対象とした「iFreeNEXT インド株インデックス」など様々な資産を対象にしたファンドがランクインしている。長期目線での投資が浸透してきていることがうかがえる。
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