新NISA「コラム」

新NISAで買える投信(2)、「つみたて投資枠」で運用成績がキラリと光るアクティブファンド

 今年1月にスタートした新NISAは、1人当たりの投資収益非課税枠が1800万円、非課税対象期間も無期限ということもあり、これを機に投資をスタートする人も少なくないと考えられる。折しも、日経平均株価が1日で1000円以上上昇するという株高局面を迎えている。「新NISAを使って何に投資すれば、最も効果的に運用ができるだろうか」と考え中の方も少なくないと考える。そこで、新NISAで購入できる主な投資信託の種類やその特徴について概観してみたい。ここでは投資信託協会や金融庁が発表している商品リストに基づいて紹介する。実際には、個々の金融機関によって取り扱いの有無が生じることにご留意いただきたい。「つみたて投資枠」で買えるアクティブファンドもチェックしておきたい。

 「つみたて投資枠」は、株式インデックスファンドのイメージが強い。年初から資金流入額の大きさで話題になった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をはじめ、「S&P500」や「日経平均株価」、「TOPIX」など国内外の株式インデックスファンドが充実している。しかも、運用手数料である信託報酬率が低いファンドが揃っているのも大きな特徴だ。ただ、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託で以下の条件をすべて満たすものについては、指定インデックス以外のインデックスファンドやアクティブファンドも投資対象に加えている。

 アクティブファンド等が「つみたて投資枠」の対象になる条件とは、(1)信託契約期間が無期限または20年以上、(2)分配頻度が毎月でないこと、(3)ヘッジ目的の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと、(4)純資産額が50億円以上、(5)信託設定以降5年以上経過、(6)信託の計算期間のうち資金流入超の回数が3分の2以上であること、(7)主たる投資の対象資産に株式を含むこと、(8)販売手数料はノーロード、(9)国内資産を対象とする場合は信託報酬は税抜き1%以下、海外資産を対象とする場合は同1.5%以下となっている。かなり厳しい条件をクリアしないと「つみたて投資枠」の投資対象にはならない。

 この条件の中で、設定来5年以上、純資産額50億円以上というのは運用の継続性を担保するために設けられた形式要件だが、最も達成が難しいと考えられるのが「信託の計算期間のうち資金流入超の回数が3分の2以上であること」という条件だ。この条件は、販売会社の意向などによってキャンペーン的に無理やり大きな資産を積み上げても販社の販売努力が途絶えるとともに残高を減らしていくようなファンドを除外し、継続的に投資家の需要があるファンドを採用したいという意図がある。基本的に「つみたて投資」で購入されやすいファンドが条件を満たしやすく、確定拠出年金に採用されて人気のあるファンド、また、運用会社が直接販売しているファンドなどが多く該当している。

 このような厳しい条件をクリアして「つみたて投資枠」の対象ファンドになっているアクティブファンドは、優れた運用成績を残すものがある。たとえば、「つみたて投資枠」の中で過去3年(年率)リターンが最も高いのは、「日経平均高配当利回り株ファンド」というアクティブファンドだ。3年(年率)34.52%という成績を残している。これは同期間のTOPIX(東証株価指数)の12.15%、日経平均株価の9.47%を大きく上回るばかりでなく、米S&P500(配当込み、円ベース)の24.39%をも上回っている。

 同ファンドは、日経平均株価採用銘柄の中から予想配当利回り上位30銘柄を選定し、流動性を勘案して銘柄ごとの組み入れ比率を決定するというシンプルな仕組みで運用しているアクティブファンドだ。2023年12月末時点の同ファンドの予想配当利回りは4.2%と、同じ時点の日経平均株価の1.8%を2倍以上も上回っている。原則として6月と12月にリバランス(組入れ銘柄の入れ替えと組み入れ比率の調整)を行い、その時点の配当収入を分配している。その分配金額は、信託報酬(税込み年0.693%)控除後の予想配当利回りとしており、現在の4.2%の予想配当利回りであれば、基準価額に対して3.5%程度の分配金が期待できる(2分の1ずつ年2回の分配)。安定して高いパフォーマンスをあげている実績が評価され、純資産総額は700億円を超えてきた。昨年の2月は65億円程度だったので、1年で純資産総額は10倍超になった。

 次に、「フィデリティ・米国優良株・ファンド」が3年(年率)23.54%だ。手数料(信託報酬が税込み年1.64%)控除後のリターンで、S&P500(配当込み、円ベース)の24.39%と同等のリターンになっている。1年では43.03%とS&P500の40.90%を超えている。フィデリティの調査分析力を活かして国際的な優良企業や将来の優良企業に投資するというアクティブファンドの魅力を備えた銘柄といえるだろう。

 そして、「大和住銀 DC国内株式ファンド」が3年(年率)21.67%だ。TOPIXの12.15%を大きく上回る運用実績になっている。このファンドは、ファンダメンタル価格に対する割安性(バリュー)を重視し、収益性や成長性を勘案したアクティブ運用によって信託財産の成長をめざしており、信託報酬(税込み年1.05%)控除後のパフォーマンスでTOPIXや日経平均を大幅に上回る成績を実現し、アクティブファンドの魅力が感じられるファンドといえよう。

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 「つみたて投資枠」の対象商品をパフォーマンスの点で並べてみると、3年(年率)リターンでは、「iFreeNEXT FANG+インデックス」の24.87%、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の24.03%など米国株インデックスファンドが上位を占めている。その中で、「日経平均高配当利回り株ファンド」などアクティブファンドが食い込んでいるという状況だ。「『つみたて投資枠』といえば、インデックスファンド」という印象が強いが、アクティブファンドも除外することなく、しっかりとパフォーマンスを評価して投資対象として検討したい。(グラフは、優れた運用成績を残す代表的なアクティブファンド)

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