新NISA「コラム」

新NISAで買える投信(3)、「つみたて投資枠」のETFはオーソドックス

 今年1月にスタートした新NISAは、1人当たりの投資収益非課税枠が1800万円、非課税対象期間も無期限ということもあり、これを機に投資をスタートする人も少なくないと考えられる。折しも、日経平均株価が1989年の史上最高値を34年ぶりに更新した。「新NISAを使って何に投資すれば、最も効果的に運用ができるだろうか」と考え中の方も少なくないと考える。そこで、新NISAで購入できる主な投資信託の種類やその特徴について概観してみたい。ここでは投資信託協会や金融庁が発表している商品リストに基づいて紹介する。実際には、個々の金融機関によって取り扱いの有無が生じることにご留意いただきたい。「つみたて投資枠」で買えるETF(上場投資信託)もチェックしておきたい。

 ETFとは、証券取引所に上場し、時価で売買できる投資信託だ。一般の公募投資信託が1日あたり値段が1つしかなく、しかも、平日の夜間に価格が更新されるため、投資信託の購入時には価格が決まっていないことに対し、上場しているETFは同じように分散投資が効いた投資信託であるにもかかわらず、時価があり、その価格は刻一刻と変化している。このため、値段を指定して購入することもできる。しかも、運用コストは一般の投資信託よりも低く抑えられる傾向があるため、投資商品としての需要は低くない。ただ、「つみたて投資枠」で購入可能なETFは、わずか8本(2024年1月30日現在)と限定的だ。「つみたて投資枠」に採用される条件が厳しい他、新NISAの投資対象として「つみたて投資枠」のETFを取り扱っている販売会社が非常に少ないため、新規の追加ニーズも高まっていない。そもそも「つみたて投資枠」は、つみたて投資による購入を前提とした口座であるため、購入時にはETFの大きな特徴である時価で買えるというメリットが小さいことも取り扱い販社が増えない理由になっていると考えられる。

 「つみたて投資枠」の対象ETFに採用される条件は、(1)信託期間が無期限、または、20年以上、(2)ヘッジ目的等を除きデリバティブ運用を行っていない、(3)投資対象資産が株式であること、(4)分配頻度が毎月でない――という一般の投資信託が「つみたて投資枠」の対象となるために設けられている条件と同じ項目に加え、つみたて投資枠のETFならではの条件として、(5)指定したインデックスに連動していること、(6)最低取引単位が1000円以下、(7)円滑な流動のための措置が取られていると国内取引所が指定するもの、(8)外国取引所に上場されている場合、資産残高が1兆円以上、(9)販売手数料1.25%(税抜き)以下、(10)口座管理手数料ゼロ、(11)信託報酬0.25%(税抜き)以下――という条件がある。

 現在の8本のラインナップは、オーソドックスで代表的な指定インデックスに連動するETFばかりになっている。国内株インデックスでは「TOPIX(東証株価指数)」、「日経225」、「JPX日経400」に連動するETFが各1本。そして、国外では米「S&P500」に連動するETFが2本、そして、全世界株式「MSCI ACWI」、先進国株式(除く日本)「MSCIーKOKUSAI」、新興国株式「MSCIエマージング」に連動するETFが各1本だ。そのパフォーマンスは、過去3年で最も優れた「S&P500」(トータルリターン3年・年率23.84%)から、「MSCI-KOKUSAI」(同21.51%)、「MSCI ACWI」(同19.00%)、「TOPIX」(同14.80%)となり、「MSCIエマージング」(同」2.82%)が劣っているという成績だ。
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 もちろん、これら代表的な株価指数に連動する一般の公募投資信託は複数存在し、しかも、「つみたて投資枠」で購入できる商品も多い。さらに、一般の投資信託であれば、取り扱い販売会社も多い。また、運用コストについても、一般の公募投資信託は十分に低くなっていて、むしろ、ETFの信託報酬等の水準の方が高いくらいだ。その点では、新NISAの「つみたて投資枠」であえてETFを購入するメリットは大きくはない。むしろ、ETFの時価が見える特性を活かすのであれば、「成長投資枠」で一括して投資するニーズにあるようにもみえる。「成長投資枠」の投資対象になっているETFについては、現在238本あり、多様な商品があるため、項目を改めて紹介したい。(グラフは、「つみたて投資枠」の投資対象ETFのパフォーマンス推移)

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