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「S&P500」のトップは続くが円高で収益悪化、トランプ政権が「ゴールド」の追い風? =ネット証券の投信積立契約件数ランキング25年2月

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年2月のトップ4は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」、「iFreeNEXT インド株インデックス」で前月と変わらなかった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は4カ月連続で全ネット証券3社でトップになった。また、前月第9位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第5位にジャンプアップした。トップ10圏外から「日経225ノーロードオープン」が第8位に食い込んだ。一方、前月は第6位だった「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は第8位に後退した。

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 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

◆米国株の下落でも積立投資に変化なし

 2月は米国株が下落した。「S&P500」はマイナス1.42%、「NASDAQ総合」はマイナス3.97%と2024年4月(マイナス4.41%)以来の大きな下落率になった。加えて、ドル円が1月末の1ドル=154.71円から2月末には149.83円へと円高になったため、外国株式への投資には逆風となった。それでも長期投資を旨とする積立投資の対象銘柄に大きな変化は見られなかった。

 ただ、ドル円については、今後の外国株式投資を考える上では意識せざるを得ないテーマになってくると考えられる。2020年12月に103円台だったドル円は、2024年6月に160円台の円安に進んだ。短期間に大幅に進んだ円安の影響を受けて、2020年3月のコロナショック以降の株式投資は外国株式に投資することで、非常に高いリターンをあげることができた。近年の「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」という外国株価指数に連動するインデックスファンドに人気が集中している状態は、2020年以降の円安基調が後押しした。

 2025年に入ってドル円は円高方向に動いている。2024年12月末時点で1ドル=157円台だったが、2月には1ドル=150円台割れに円高が進み、3月になると一段と円高が進む動きになった。この動きは、米国の経済の先行きが不透明になる中で米国の金利に下押し圧力がかかっていることに対し、日本は緩やかな金利の引き上げを志向していることを背景としている。加えて、米トランプ大統領は「日本は円安政策をとっている」ことを理由に日本からの輸入品に対して関税を課すとまで言い出している。今後、円安が進行する場面では日米の政策当局からブレーキになるような口先介入が増えるものと考えられる。このような円高を促すような材料が増えている局面では、外国資産への投資は再考されるものだが、積立投資対象の今後に変化があるだろうか?

 2月のランキングで「日経225ノーロードオープン」がトップ10圏外から第8位にランクインすることになっているが、国内株式ファンドは円高環境下にあって為替変動の影響を考えずに株式投資の成長を取り入れる手段として有効だ。国内株は2月に米国株式市場以上に大きな下落率(日経平均株価はマイナス6.11%)だったために、この下落をチャンスとみた投資スタートの判断もあったのかもしれない。

◆トランプ政権が金価格上昇を後押し?

 前月は第9位だった「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第5位に上がった。同ファンドはETFへの投資を通じて「LBMA(ロンドン貴金属市場協会)金価格指数」に連動する運用成果をめざす。ロンドン金価格はNY金先物と並んで国際的な金価格の指標となるが、2020年に前年比24.6%上昇した後、2021年はマイナス4.3%、2022年はプラス0.4%と小動きだったが、2023年はプラス14.6%と大きな値上がりとなり、2024年はプラス25.5%と2020年を超える大幅高を記録した。そして、2025年になっても金価格の上昇は止まっていない。

 金は、絶対的な価値のある資産といわれ、戦争などの国際的な危機が増大するような局面で「安全資産」として金が選ばれる傾向が強い。長引くウクライナ紛争や混迷するイスラエル紛争など、地政学リスクの水準は決して低くない。まして、米トランプ政権が強圧的な関税政策を振りかざし、国際関係を揺るがす火元になっている。トランプ大統領流の「ディール(取引)」を意識した政治姿勢が、はたして、米国の国益にプラスに働くのだろうか。世界中に「不安」の種をばらまいているようなトランプ大統領の言動は、少なくとも金にとっては、その価値を高める役割を果たしているようだ。また、今後の経済運営において第一次トランプ政権にあった「トランプ減税」のような財政拡大策をとるようなことがあれば、財政の悪化懸念で米ドルの信認が揺らぎ、結果的に金の価値を高めることにもつながる。当面は金価格が堅調な局面が続きそうだ。

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