新NISA「ニュース」
新NISAで注目される長期に高い成長が期待される資産クラス、インド株ファンドのパフォーマンスに注目
2024年1月にスタートする新NISAは、従来は5年(一般NISA)、20年(つみたてNISA)など期限が区切られていた非課税期間が撤廃され、生涯にわたって非課税運用が可能になる。新NISAによって10年、20年にわたる長期投資に相応しいファンドの選択が強まると考えられる。過去10年間の年率トータルリターンのランキング(純資産10億円以上、確定拠出年金・ラップ口座専用ファンドを除く、ETF含む、2023年9月末現在)のトップ10は、米国株を主たる投資対象としたファンドが5本で最も占有率が高いが、次に、インド株を主たる投資対象としたファンドが3本で続いている。残る2本は、半導体関連株に特化したファンドと日本小型株ファンドだ。米国に次ぐ高いリターンを記録したインド株ファンドに注目したい。
米国株でトップ10に入ったファンドは、「(NEXT FUND)NASDAQ100(為替ヘッジなし)連動型上場投信」(年率21.99%)、「アライアンスバーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」(18.21%)、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(為替ヘッジなし)」(17.99%)などだ。投資家の間でもテクノロジー関係のグロース株(成長株)が大きく値上がりしたという印象は定着し、そのため、米国株価指数「S&P500」連動型ファンドを使った積立投資の人気になっている。実際に、10年間の年率リターンが20%を超えると単純に計算しても基準価額が3倍以上に上昇することになる。10年で3倍以上とは非常に大きなリターンにつながった。
一方、インド株に投資するファンドでは、「高成長インド・中型株式ファンド」(18.58%)、「SBI・UTIインドファンド」(17.58%)、「T&Dインド中小型株ファンド(愛称:ガンジス)」(17.18%)の3本がトップ10にランキングされている。年率17%以上のリターンになった。近年、いわゆる「グローバルサウス」の代表国のように意識され、これからの経済成長や株高が期待される国にもなっている。
インド株への期待は、「高成長インド・中型株式ファンド」が純資産残高の急増によって9月8日から新規購入申し込みの受付を停止していることにも表れている。同ファンドには昨年から月次資金流出入が流入超過に転じ、今年5月以降は月次で100億円を超える流入額になった。8月には約281億円の資金流入額になっている。また、「高成長インド・中型株式ファンド(年1回決算型)」も同じように今年6月には約173億円の資金流入となり、9月には約256億円と大きな資金が流入した。そもそも信託金限度額が合計4000億円だったところ、急速な資金流入と基準価額の上昇によって9月1日現在の純資産残高の合計が約3703億円になったため、新規購入の申し込みをストップした。運用資産の状況等を勘案しながら、新規購入受付再開を判断するとしている。
また、「SBI・UTIインドファンド」は、昨年10月から月次の資金流出入が流入超過に転じたものの、月次の資金流入額は10億円前後で安定している。純資産残高は約633億円で依然として拡大の余地が大きい。また、「T&Dインド中小型株ファンド」も昨年11月から資金流入に転じたが、こちらは月次の流入額が5億円を上回ってきたところで、純資産残高は約115億円とまだ小さい。両ファンドともに、アクティブファンドで、「SBI・UTIインドファンド」は大型株を含むインドの株式市場に上場している銘柄を広く投資対象として捉え、「T&Dインド中小型株ファンド」は中小型株を投資対象にしている。それぞれ、インド現地に調査ネットワークをもつ運用会社に実質的な運用をゆだねている。「SBI・UTIインドファンド」は、1963年にインドで最初に設立されたインド国内最古の投資信託運用会社のUTIグループに、「T&Dインド中小型株ファンド」はインベスコ・アセット・マネジメント(インド)プライベート・リミテッドが投資助言を行っている。
過去10年間で大きなリターンを残してきたファンドだが、米国は今後、景気が減速する方向にある。昨今の株式市場でも業績発表したハイテク・グロース企業の株価が、決算が予想に届かないために株価が大きく下落する銘柄が目立っている。一方、インドはIMF(国際通貨基金)の10月の経済成長率見通しでも2023年4月~24年3月の経済成長率が従来の6.1%から6.3%に上方修正され、2024年度(24年4月~25年3月)も6.3%の成長を予想している。世界全体の経済成長率予想が2023年3.0%、24年に2.9%と減速が予想される中で、インドの成長率は主要国の中で頭抜けた高成長が期待されている。こうした堅調な経済成長率に支えられ、インド株式市場への期待も高まっている。引き続き、インド株を主要投資対象としたファンドのパフォーマンスにも期待が持てるだろう。(グラフは、高いパフォーマンスで注目されるインド株ファンド)
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