新NISA「ニュース」
新NISAで投資信託をどう使う? インデックスファンドを複数使ったポートフォリオで長期投資を実現
2024年1月から始まる新NISAは、資産運用について国民的な関心を高めるきっかけになると期待されている。ただ、資産運用への関心が定着することが重要で、そのためには、新NISAで行われる投資行動が重要な意味を持つ。「何を選ぶ?」、「どのように保有するのか?」などということが、これから問われることになる。にぐ先生(写真:右)は、Youtubeなどを通じて子供向けの金融教育コンテンツを積極的に発信している。ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)が、にぐ先生と新NISAで始める資産運用をテーマに議論した。にぐ先生が唱える「長期に継続できる資産運用」とは?
◆にぐ先生が小中学生1万世帯に届けた金融教育コンテンツ
朝倉 にぐ先生は証券会社を経てIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)になられ、今は投資教育とか投資助言をされていますが、マネーシフトは投資教育の会社という理解でいいですか。
にぐ先生 金融教育を中心に行っている会社になりまして、小中学生向けのオンライン金融教育に力を入れています。
朝倉 金融教育は高校で義務教育になりましたが、さらにその下の年代までおりて行うのは大変じゃないですか?
にぐ先生 大変です。今は47都道府県で最低一つ以上は自治体から後援をいただいていまして、小中学校でチラシを配らせていただいて、オンライン講座への参加を呼び掛けています。講座は既に10期目になり、年に3、4回開催していますので、トータルでいうと今回で1万世帯は超えるところまでは、やらせていただいています。
世の中の関心がかなり高くなっています。特に、親御さんの関心が強いと感じます。お子さんだけではオンラインセミナーに入ってこられないと思いますので、おうちの方が協力してくださっていることを感じています。
◆ネット投資家にありがちな落とし穴とは?
朝倉 いよいよ新しいNISAが始まるわけですけれども、これで投資への関心は大きく変わりますか?
にぐ先生 大いに変わると思います。しかしながら、「NISA」とか「iDeCo」という言葉だけが一人歩きしている感覚がすごくあり、自分で調べると株式とか投資信託、NISA、iDeCo、貯蓄型保険など、いろいろと商品とか制度が出てきて混乱しているところがあります。最近のセミナーでもあったのですが、「投資信託とNISAってどっちをやったらいいですか」という質問もあるぐらいで、関心はあるけれどもちゃんと理解はできていないという方が多くいらっしゃいます。
朝倉 だんだん勉強していくと、じゃあ実際にどうやって運用、投資をしたらいいですかというところに入っていくわけですね。
にぐ先生 そうですね。その辺りは、僕の方から何がいいですという話ではなくて、授業の中では「株式会社がなぜ誕生したのか」、そういうところから親子で学んでいただいて、投資というのは考えて選ぶことだというところを知ってもらって、自分たちでそういうのを探してもらうのを応援するというやりかたをしています。
株式投資という考えがないと気にしていないと思いますが、例えば、ディズニーランド、ユニクロ、無印など、全部投資ができるわけじゃないですか。
その辺をちゃんと気づいてもらって、自分が好きだと思えるような会社に投資することがきっかけになると思います。卒業生の子が、株式投資を「推し活」って言っていました。あたかも「推し」ってアイドルの「推し」みたいに、自分が推したいと思って株式投資をするという意味です。卒業生が、推し活と思ってやっていますと言ってくれていて、教え方は間違っていなかったと思いました。
朝倉 そういうことですね。でも新しいNISAになってくると、今度は実際に何を買ったらいいかというふうになります。日本の銘柄がいいのか、海外の銘柄がいいのかってやっぱり質問はあるわけですか。
にぐ先生 皆さん、儲ける、儲けないというところをポイントで考えてしまう方も多いのかなと思うのですけれども、投資、資産形成というのは、長期でやることが大事です。どうやったら儲かるかというよりも、どうやったら長期に継続できるかというところをポイントに、ポートフォリオは持ってほしいと思います。
例えば、アメリカのインデックスファンドについて、初心者の方も気軽にポチってやっている(ネット証券で購入の注文をしている)と思うのですが。でも今年になってから、アメリカ株に銀行の破綻等があって、あの辺りで相談をいただいたのですが、実際にその方は「S&P500」のインデックスファンドを持っていたのですけれども、ネットで調べたところ、「これからアメリカ株は下がります」と書いてあったそうで、「これからはアメリカ株を買うのではなくて、空売りの時代です」と勧められたというのです。
朝倉 空売りとは、すごい飛躍ですね。
にぐ先生 そうなんです。空売りをするというのは本当に真反対のことなのですけれども、一般の投資家の方ってそれが分からないのです。その話を聞いてびっくりして、今のままでいいと思いますし、もしかしたら、ネットの情報収集にあまり向いていないかもしれないですという話をしました。ネットの情報を全て真に受けてしまっているのですね。
このようなことは珍しいことではありません。個人投資家の方って、1人で考えていたりするので、ちょっとしたきっかけで思わぬ投資行動に出たりするのです。そういうものも自分がちゃんと長期で続けられるかということを考えて、リスク分散をして、ポートフォリオは組んでほしいと思いますね。
◆自分で作れるポートフォリオの作り方とは?
朝倉 にぐ先生もご存じの通り、私どもは旧モーニングスターで、長期・積立・分散のアセットアロケーションを日頃から申し上げてきました。グループの運用会社はいろんな商品を展開し、アメリカ株じゃなければ違う国の株とか、あるいは、債券とか、金とか、いろんな商品を集めてポートフォリオが自分で作れるような場を提供しているのですけれども、そこはどう思われますか?
にぐ先生 とても素晴らしいことだと思います。例えば、iシェアーズのシリーズには、債券とかゴールドが低コストで買えるようにしていただいています。若い方と高齢の方でもちょっと違うとは思うのですけれども、若い方は若い方で、どうしてもどうやったら一番利益が出るかというのを考えがちで、集中投資をしがちです。
長期投資を実現していくためのメンタルが維持できると思っています。若い方にとって分散投資というのは、リスクを減らすと分かりやすい言葉で言われるのですけれども、それよりも長期投資を実現するために必要なものが分散投資という考え方だと思います。
朝倉 いい考えですね。続けていくって大事ですものね。
にぐ先生 市場から退場しないのが一番大事です。あっちに行ったりこっちに行ったりするのではなくて、あっちもこっちも、いくつか持ってしまえばいろんな情報をネットで見ても、これ持っている、これ持っている。メンタルを和らげることができるのですよね。
あれも持っていなければ大丈夫じゃないのかという心配みたいなものがなくなるので、若い方もリターンを取りにいくというのももちろん大切なことですけれども、ポートフォリオとして自分のメンタルを長期投資が維持できるように考えてほしいと思います。
ある程度の市場に対する楽観視も当然必要です。若い方には分散投資をするとリターンが下がると思うかもしれないのですけれども、メンタルを維持するためにも必要なことだというのは知っておいてほしいなと思います。
高齢の方にとっては、今回のiシェアーズシリーズでは、債券とかゴールドっていう、株式とはちょっと違う動きをするものも大切になってくるかなと思います。若い方よりは、どちらかというと、50代、60代、70代の方は取り崩しをし始めるタイミングにさしかかると思うので、取り崩しながらすごい変動に振り回されても、これもまた、メンタルがやられてしまったり、ストレスになってしまいます。ゴールド、債券というのを多く入れるようにして、その辺りも緩和していくというところがすごく大事になります。
やはりアドバイザーの存在というのもすごく重要になってくると思いますね。
朝倉 重要だと思いますね。iシェアーズシリーズも今度インド株を出して10本になります。また、Vシリーズとかいろいろやっているのですけれど、そこのラインアップがあったとしても、どういうふうに組み合わせるのか、結局は自分で考えなければいけないのです。
にぐ先生 あとは、今のiシェアーズシリーズやVシリーズなどは低コストなので、とりあえず持っておこうかなとたぶん思えると思うのです。気になる資産があれば、迷ってしまうのだったら、とりあえずちょっとでいいから持っておくこと。それが結局メンタルの緩和につながるというふうになるので、そういう意味で非常に扱いやすいラインアップになっていると思います。
朝倉 ファンドラップとか、ロボアドバイザーなどもあって、自分でポートフォリオを考えなくても気軽にできるというのもあるのですけれども、そういうことに頼らなくても、さっきおっしゃっていただきましたように低コストで、自分でポートフォリオを組めるというふうにできればなと思っています。
にぐ先生 なるほど、それでまさにラインアップが細かくあるわけですね。
◆iシェアーズシリーズの魅力と活用法は?
朝倉 iシェアーズで気になるところはありますか?
にぐ先生 最近発表された、「サクっとインド株式」ですね。これは世の中のインド株ファンドファンが待ち望んでいたところだと思いますし、僕も過去に動画でインド株ファンドについては何度も取り上げていますが、毎回コストが高いというコメントを必ずいただきます。
アクティブファンドもインド株は成績がよかったりするんですけれど、やっぱりコストが気になってしまいます。最近コスト、コストって言われるので、あれだけ安いインド株式が出たので、これは僕自身も買いたいなと思っています。
朝倉 信託報酬は0.5%切りました。
にぐ先生 特に長期で投資できる方は、たぶんアメリカがいいというのはもちろんあるのですけれども、他に何かないかなと探すとインドが出てくると思うので、そういうのでインド株式は大変いいというのが一つ。
もう一つは、iシェアーズの「サクっと米ドル」と「サクっと純金(ヘッジあり)」を半分ずつ組み合わせるときれいに上がっていくチャートになりました。高齢の方ですと将来取り崩す時とかに、債券とかゴールドとか守りの運用に特化されている組み合わせをやることでかなり安心して置いておけるかなと思います。インフレよりはちょっと多いぐらいの収益が期待できるのはいいですね。
朝倉 ご年配の方が取り崩すのに対しても、安定運用しながら取り崩すというのにいいですね。私どもは、世の中にないものとか、例えば株でも小型のファンドを出したりとか、今おっしゃった金でも安いものを出したりとか、今後もご要望があればぜひおっしゃっていただきたいと思います。いわゆるラストワンマイル、お客様との最後の接点をどうするかということが重要ですから。
にぐ先生 投資の重要性がわかって、何を買うかということも大事ですが、もっと具体的にいうと、ネット証券での投信の購入の手続きの仕方がわからないということもあるぐらいですから、その最後ができない人に対してYouTubeで解説などをやらせていただいています。
来年からの新しいNISAについては、すべての日本人にとって、まず始めるべき制度になると思っていますので、もしまだ口座を作られていない方はぜひ作っていただきたいです。すでに運用されている方はとにかく大事なのは市場から出ないこと、長期投資を続けるというところになりますので、そのためのポートフォリオをしっかり作る。なので、儲けるためではなくて、長期投資を続けるためのポートフォリオづくりというところをぜひ考えていただいてよい資産形成をしていただければと思います。
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