新NISA「ニュース」

インデックスファンドの競合は新フェーズに突入か? 新NISA開始6カ月で動き

news_240614.jpeg ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが2024年1月11日に新規設定した低コストの新シリーズ「SSGA インデックス・シリーズ・ライト」の主要ファンド4本(全世界株式、S&P500、グローバル株式、TOPIX)が6月7日にNISA「つみたて投資枠」の対象ファンドに登録され、6月10日にはアムンディ・ジャパンの「アムンディ・インデックスシリーズ」3本(オールカントリー大型成長株と高配当株、インド株)がNISA「成長投資枠」に登録された。そして、6月12日には、ブラックロック・ジャパンの「成長投資枠」対象のETF「iシェアーズ Nifty 50 インド株 ETF」が東証に上場した。新NISAのスタートとともに、インデックスファンドによる積立投資人気が拡大し、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」といった人気銘柄には毎月1000億円を超える大きな資金が流入し続けている。この大きな資金流入を巡って、インデックスファンドには一段と熾烈な競争が始まっている。

 ウエルスアドバイザーの独自推計によると、2024年5月の国内公募追加型株式投信(ETF除く)の純資金流出入額は1兆4639億円の純資金流入となり、5カ月連続で資金流入額が1兆円を超えた。資金流入の主役は「国際株式型」で、中でも、「S&P500」や「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」というような代表的な株式インデックスに連動するインデックスファンドへの資金流入が顕著だ。

 たとえば、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の資金流入額は5月は月間で推計約2014億円だが、5月までの過去6カ月間で累計1兆2536億円になっている。また、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、5月が1612億円で過去6カ月間で累計9332億円の資金流入になっている。過去6カ月間の資金流入額をインデックスファンドにみると、「楽天・S&P500インデックス・ファンド」が1591億円、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」が1466億円、「iFreeNEXT FANG+インデックス」が1225億円、「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」が1223億円、「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」が1149億円など、6カ月で資金流入額が1000億円を超えるファンドがいくつもある。

 しかも、「eMAXIS Slim」の「オルカン」と「S&P500」は別格として、それ以外のファンドでは、「SBI」、「楽天」、「iFree」、「ニッセイ」などブランドを問わない。また、連動対象のインデックスも「S&P500」と「MSCI ACWI」が頭抜けているが、その以外には「FANG+」や「NASDAQ100」など、主要インデックス以外の分野にも人気が広がる可能性が感じられる。

 新NISAが始まった後のインデックスファンド市場は、どの運用会社でも投資家のニーズを捉えた低コストのファンドが提供できれば、あっという間に数千億円規模のファンドを育てることができる環境になっているといえる。

 「SSGA インデックス・シリーズ・ライト」は、インデックスファンドの提供者としてグローバルで存在感のあるステート・ストリート社が日本市場向けに低コストを実現した新シリーズ。1月11日付に新規設定するにあたっては同時に7本の新ファンドを設定し、うち、<ライト全世界株式>の年0.0748%(税込み)を除く6ファンドは発表時時点で業界最低水準の信託報酬率を設定した(ETF、DC専用、投資一任専用、期間限定低コストを除く)。<ライトS&P500>と<ライト・グローバル株式>は年0.0748%、<ライトTOPIX>は年0.1078%、<ライト世界国債>(隔月分配型)は年0.0638%、<ライト日本債券>(隔月分配型)は年0.1078%、<ライト米国投資適格社債>(隔月分配型)は年0.2838%だ。7本ともNISA「成長投資枠」の対象ファンドに登録されている。

 「アムンディ・インデックスシリーズ」は、現在、投信市場で人気が高い「MSCI ACWI」に連動するインデックスファンドにプラスαの付加価値を付けた新しいタイプのインデックスシリーズだ。「(アムンディ・インデックスシリーズ)オールカントリー・高配当株」は、「MSCI ACWI」構成銘柄の中から「高配当」に焦点をあてた銘柄群だけに投資するファンドで、年4回決算の分配金にも期待が持てる。「(アムンディ・インデックスシリーズ)オールカントリー・大型成長株」は、同じように大型成長株にフォーカスしたファンドだ。2ファンドとも信託報酬率は年0.165%(税込み)と抑えられている。さらに、インド株の「Nifty50」に連動する「(アムンディ・インデックスシリーズ)インド株」は業界最低水準の年0.297%(税込み)という低コストのインデックスファンドだ。3ファンドとも「成長投資枠」の対象だ。

 そして、「iシェアーズ Nifty 50 インド株 ETF」は、インド株インデックスに連動するETFの中で、最も低い運用コストの年0.385%程度(税込み)になっている。「成長投資枠」対象のETFだ。

 現在のインデックスファンドは、低コストに加えてNISA「成長投資枠」の対象であることが重要な要素になる。代表的なインデックスであれば、「つみたて投資枠」と両方で投資対象になっていることも投資家へのアピールになる。新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」は併用ができるため、非課税投資枠をフルで活用する場合は、両方の投資枠を使いたいからだ。ただ、「つみたて投資枠」に対象になるようなインデックスファンドは、既に各社の品揃えが進んでいるため、ここに割って入るには、相当思い切った手数料水準にするなどしないとアピールできない。税込みで0.05%台以下のファンドが現れるだろうか?

 一方、「成長投資枠」の対象であれば、「アムンディ・インデックスシリーズ」の「高配当株」や「大型成長株」、あるいは、新興国の「インド株」など、比較的自由な商品提案が可能だ。この分野でも「iFreeNEXT FANG+インデックス」のように残高が2000億円にせまる大型ファンドが出始めている。この分野で、投資家の興味を掻き立てるようなファンドが登場するだろうか? 注目していきたい。(イメージ写真提供:123RF)

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