NISA「ニュース」
「S&P500」史上最高値でインデックスファンドに変化、高配当株式にも注目を
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年7月のトップ5は前月と同じだった。トップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、第2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、第3位に「iFreeNEXT FANG+インデックス」で、以下は「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」、「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が続いた。第6位には前月第7位の「iFreeNEXT インド株インデックス」が上がり、第10位にはトップ10圏外から「楽天・全米株式インデックス・ファンド」と「SBIネクスト・フロンティア高配当株式ファンド(年4回決算型)」がランクインした。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
◆「S&P500」史上最高値でのインデックスファンドの変化
7月は米国株が続伸し、「S&P500」や「NASDAQ総合」が史上最高値を更新した。また、英国の「FTSE100」が史上最高値を更新し、国内の「日経平均株価」も1年ぶりに4万1000円台に乗せるなど、先進国の株価が堅調だった。一方、中国株は先進国株同様にしっかりしていたが、インド株は「sensex30」が2.90%下落するなど、まちまちの動きだった。
この結果、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は7月の月間で6.40%上昇し、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は同5.37%上昇するなど株式インデックスファンドは総じて堅調な値動きになった。ただ、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は5.12%の上昇にとどまるなど、「オルカン」に及ばなかった。4月の下落時には最も大きく値下がりしたものの、その後の反発局面では大きな上昇率となって他のインデックスファンドと変わらない水準にまで戻ったものの、やや息切れ感が感じられる。8月には企業業績の発表がある。その内容が待たれるところだ。
一方、「iFreeNEXT インド株インデックス」は7月の1カ月間では基準価額が2.41%下落した。市場が下落しているにもかかわらず、積立契約件数ランキングは上昇している。インド経済の発展を期待して中長期の期間でインド株式に投資することを考えている投資家が多いのだろう。市場の下落時に人気を集める結果になった。
◆「ネクスト・フロンティア」を使った分散投資ポートフォリオ
新たにトップ10にランクインした「SBIネクスト・フロンティア高配当株式ファンド(年4回決算型)」は、アジア、南米・東欧・中東・アフリカなど今後の高成長が期待される地域に加え、資源が豊富なオセアニア諸国など、いわゆる「グローバル・サウス」を中心としたフロンティア地域の高配当銘柄に投資するファンドだ。6月24日に新規設定から、基準価額は徐々に上昇し、7月末の基準価額は1万746円になった。モデルポートフォリオの配当利回りが8.7%(税引き前)と高いこと、また、ファンドの運用コストである信託報酬率が年0.099%程度(税込み)と低コストであることから注目されている。
そもそもフロンティア株式に投資する手段は少ない。新興国株インデックスになると、中国、インド、台湾、韓国、ブラジルで約8割を占める指数になる。「ネクスト・フロンティア」では、アジアならベトナム、バングラディシュ、スリランカなど、南米はコロンビア、ペルー、中東はオマーン、ヨルダン、アフリカのモロッコ、エジプト、ナイジェリアなどが対象国となる。「オルカン」などでもカバーできない地域に投資できるファンドとしてポートフォリオに加える価値はあるだろう。
また、「SBIネクスト・フロンティア高配当株式ファンド(年4回決算型)」と同様に高配当株に投資し、年4回決算を行うファンドとして「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」(1・4・7・10月決算)、「SBI欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」(3・6・9・12月決算)がある。同ファンドは2・5・8・11月の決算であるため、この3本のファンドを併せ持つと、毎月分配金を得られるポートフォリオとなり、日欧フロンティアへの分散投資もできる。3本ともにNISAの対象ファンドであるため、通常の毎月決算型ファンドとはことなって非課税で分配金を得られるメリットもある。いくつかの観点で活用できそうなファンドだ。
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